屋根のアスベスト問題


 

「屋根のアスベスト」、このニュースを耳にした事がある方も多いことでしょう。

 

アスベスト新聞

そのショッキングなニュースから大問題になる反面、

不安につけ込んだ、一部の悪徳業者によって必要以上に不安を煽られてもしまいました。

 

改めて、

 

・アスベストとは何か?

 

・どんな問題があるのか?

 

を紹介させて頂きます。

また、様々な情報がありますので、

ここでの情報も1つの参考に、多くの情報源から情報を集めて頂き、

正しい情報と、必要以上の不安を解消頂ければ幸いです。

 

 

アスベスト問題の発端は、

中皮腫(ちゅうひしゅ)と呼ばれる肺がんを引き起こすことが判明し、世界的に負の遺産として大問題となったことでした。

 

 

その危険性に関わらず、たばこの副流煙のように、

「どの位吸ったら、何処までの影響」があるかは、ピンとこないと思います。

 

が、少量ながらその危険性は非常に高く、

飛散したアスベスト繊維は非常に微細でたばこの煙ちがい、「 目に見えない 」事も意識しづらい要因です。

 

さらにアスベストを吸い込んでから、健康被害のでる潜伏期間が20年以上とされることも

実際に起きている健康被害をわかりづらくしています。

住宅の屋根材においても以前はセメントを固めた「スレート屋根」において、割れにくくする

「つなぎ」の目的でアスベスト繊維が練り込まれていました。

しかも、その製品は屋根材として大ベストセラーの製品でした。

屋根のアスベスト

 

当時の製造メーカでは、製造停止から20年近くになる今も呼びかけを行っています。

 

【アスベストを含んでいた屋根材メーカーの情報ページ】

https://www.kubota.co.jp/kanren/index.html

http://www.kmew.co.jp/kenkai/index.html

 

ひっそりとではありますが、確実に今も現在進行形の問題なのです。

では、そもそもなぜこの様な有毒なものが生活の場に浸透してしまったのか?

アスベストとは何か?を紐解きます。

 

アスベストとは?

アスベストとは、天然に産する唯一の繊維状鉱物で、綿のような外観から日本語では石綿(いしわた、せきめん)と呼ばれています。

綿状で有りながら「鉱物」、つまり石であり、顕微鏡で拡大をすると繊維の1つは髪の毛の1/5000程の細さです。

アスベスト繊維

 

その歴史は古く、古代エジプトでミイラを包む布の一部や、

古代ローマではランプの芯として使われていました。

また、マルコポーロの東方見聞録中の「火に焼けないサラマンダーの皮」や、

竹取物語の「火鼠の皮衣」もアスベストの事ではないかと、言われています。

 

 

アスベストの特徴は「火に強い」

 

綿の特性と、石の特性を併せ持つため、

 

断熱性、防音性、耐久性、電気絶縁など、様々な用途で使用できる性質を合わせ持っていました。

さらに原材料が豊富にあり、加工も簡単である事から、非常に安価に製造か出来ました。

 

そして最大の特徴が「火に強い」と言うことです。

 

そのため、建築の用途で全世界的に爆発的に使用され、「夢の建材」と称される程でした。

 

 

アスベストの闇

 

住宅の断熱材、自動車のブレーキ、ヘアドライヤーなど、生活に身近な様々な製品・建材に使用されてきたアスベストですが1970年代から徐々にアスベストの「闇」の部分が徐々に明るみに出てきました。

アスベスト製品を製造していた工場や、工事職人に特異な肺がん(中皮腫)が発病したのでした。

 

アスベストの真に恐ろしいところは、肺に吸い込んでから20年以上経過してから発病するケースが多いことです。

そのため、アスベストが引き起こす健康被害が発覚が遅れ、ここまで使用が広がってしまいました。

日本では段階的な規制を経て、2008年に製造・輸入・使用全面禁止になりました。

健康被害発覚が遅れた事と、その間の製造者・工事者を中心に、2039年までに日本での死者は40万人に達するとの予測もあります。

 

【参照】

 村山武彦氏(早稲田大学理工学部複合領域教授)のアスベスト研究

 

現存するアスベスト建材

屋根のアスベスト

2000年代初頭に建築で使われていたアスベストでも、特に飛散性の高い「綿状の断熱材」は撤去が進み、公共物件などではほぼ対策されています。

しかし、「スレート屋根」と呼ばれる屋根材のうち、1990年ごろ迄に製造された物には、その多くで屋根材の強度を高めるためにその多くにアスベストが含有されています。

 

 

屋根のアスベストの危険性はどの位?

 

屋根に使われていたアスベストは屋根の強度向上のために、原料に「つなぎ」として練り込まれていました。

むき出して使用されていた断熱材などに比べ、飛散性は低いとされています。

 

今、明るみになってきているアスベストの健康被害は、

製造工場の従業員、

その周辺住民、

また、アスベストでの工事作業員が中心です。

 

また断熱材のアスベストに比べれば、屋根に練り込まれていたのアスベストは

少量ですので、危険度は低いとされています。

 

ただし、屋根修理時は要注意です!

 

屋根修理時のアスベスト飛散拡大

 

屋根の修理時は飛散性がとても高く、アスベスト対策を慎重にして下さい。

 

1.屋根の高圧洗浄

屋根の塗装前に行う、水を高圧で屋根に吹きつけ汚れを落とす「高圧洗浄」

 

 2.屋根の修理時

古い屋根材の切断、穴開けの際には、屋根が細かい粉じんになり、

屋根材の中に固定されていたアスベスト繊維が空気中に飛散してしまいます。

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特に、「高圧洗浄」時のアスベスト飛散は科学的調査が行われた事例がなかったため、

カナメでは2005年に、アスベスト問題の研修者 NPO東京労働安全衛生センター外山尚紀氏と共同で調査を実施しました。

 

 

屋根の洗浄時のアスベスト飛散調査

屋根の洗浄でアスベスト飛散

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【調査内容】

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野外に縦1.1m、横1.1mの模擬屋根を作成し、26年間使用したアスベスト(クリソタイル)含有のスレート屋根を施工。
1回につき、屋根面の4分の1の面積に高圧洗浄を実施し、その際の大気中のアスベストを計測。これを4回行い、その平均値を算出。

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・測定日:2005年11月15日(10:00〜11:00)

・場所:カナメ敷地内(栃木県宇都宮市)

・天候:晴れ 北風0.6〜1.2m/sec

  .

一般環境での飛散上限値は0.5本/リットル〜1本/リットルが目安とされています。
ただ一般環境での飛散安全値というものは存在しません。

これはアスベストの吸引が微量でも健康被害が確認されており、飛散安全値という物が設定できないためです。

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【調査結果】

屋根のアスベスト測定

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洗浄地点  平均43.4本/リットル 最大119本/リットル

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2m地点  平均11.6本/リットル 最大157本/リットル

 

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今回の調査により作業者のみならず、周辺(2m地点)でも安全目安とされる基準値を大幅に上回るアスベスト飛散が確認されました。

その多くは高圧洗浄時の反射水が霧状に飛散した中に含まれていました。

これにより洗浄時に汚れ物質とともに、アスベストが大気中に削り出されている事が実証されました。

アスベストを含んだ霧が直ちに肺に到達して健康被害を引き起こすかは調査が必要ですが、霧の水分が蒸発した場合にはアスベスト単体での飛散になると思われ周辺への被害が予想されます。

 

屋根の洗浄水

 

さらに、回収した洗浄水からも多くのアスベスト繊維が検出されています。通常これらの排水は雨水と同じように庭などに排出されています。こちらも乾燥時の再飛散が懸念されます。

また、今回の調査では地上から約1mの低い位置での実施でしたが、実際の屋根はより高い位置にあるためより広域への飛散が予想されます。

 

 

今後、飛散防止も含め高圧洗浄の見直しが急務と思われます。
今までこのような本格的な実施調査はほとんどされておらず、さらに予想を大幅に上回る飛散が確認され、この結果は日経アーキテクチャ 2006年3月13日号でも取り上げられました。

 

さらに第79回日本産業衛生学会でも発表されております。
発表者:労働衛生コンサルト 外山尚紀氏

 

 

屋根リフォーム時のアスベスト対策

 

問題点

1.塗装では

事前の高圧洗浄で、汚れと一緒に屋根材の表面をミクロンレベルで削ってしまい、アスベストを露出・飛散させてしまう。

2.補修工事では

屋根材を切切ったり、補修部品を取り付ける際のビス打ち込みで、アスベスト粉じんを飛散させてします。

 

3.古い屋根材の撤去

一番確実な方法ですが、住みながらの工事ですので、飛散防止処理が大掛かりになり、撤去費よりも飛散防止対策費の方が高額になるケースも。

 

 

今の住まいを建て替える際には、飛散防止も行いやすいため、「 3の撤去 」が確実ですが、

リフォームや屋根修理の際に手軽に安全に出来る工事として、カナメでは「封印工法(ふういんこうほう)」というオリジナルの工事をご提案しています。

封印工法

 

こちらは、金属屋根で行っている、

古い屋根の上に新しい屋根を被せる「カバー工法」をアスベスト対策用に発展させた工事方法です。

 

「封印工法」に関しては、こちらのコラムで詳しくご紹介しております。