屋根の勾配とは

勾配とは屋根の傾き具合の事です。

勾配の単位には、主に以下の3つがあります。

 

【寸法勾配】

尺貫(しゃっかん)勾配とも呼ばれ、3寸勾配などと表記される日本固有の単位です。昭和41年(1966年)にメートル法に移行し、公的には使用できなくなりました。しかし、和室や社寺建築など日本の伝統建築では必要不可欠な単位で、大工道具も尺貫法に基づいて作られているため、現在でも「分数勾配」と並んで広く使用されています。

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【分数勾配】

20/100と表記されます。「100進んで、20上がった時の傾斜」と、図面で一目で解る勾配表記です。

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【角度勾配】

こちらはあまり使われませんが、一般の方には小学校で勉強してきた「角度」のほうが身近な単位ですね。

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この様に表記される屋根の勾配ですが、その傾き具合が大きいことを「急勾配」と言います。

大きければ大きい程、垂直に近づき、壁のようになります。

 

逆に傾きがなだらか屋根は「緩勾配」と言われます。

屋根を目立たせたくない場合や、天井付近の室内空間を少しでも多くとりたい場合などに多用されます。

 

 

 

■急勾配(きゅうこうばい)

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屋根の角度がきつく、工事はとても大変ですが

水はけが良く、大雨に有利になります。

 

また、雪も積もりにくく、積もった雪も落ちやすいので雪国では屋根勾配がきつめです。

世界遺産である白川郷の合掌造りの屋根は有名ですね。

http://shirakawa-go.org/kankou/

 

急勾配の住宅では、屋根裏のスペースが多くなるので、

工夫をしないと室内空間のデッドスペースが多くなってしまいます。

 

 

 

■緩勾配(かんこうばい)

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屋根がなだらかで工事は楽ですが、水はけや、雪落ちが悪く、

製品としては高度な水密構造が求めらるため、対応メーカーが少ない。

デザインも雨漏りのしにくい、シンプルな縦葺き屋根がほとんどです。

 

反面、室内空間は広く使えます。

軽自動車が「四角」のデザインで、室内空間を広く使えるのと同じですね。

 

 

 

もう1つ、戻り勾配(もどりこうばい)という言葉もあります。

 

戻り勾配

これは勾配のなだらかさを表す言葉ではなく、実際の屋根材を取り付けた際に、

屋根材の厚み・立ち上がりによって生じる、「勾配の緩くなる」度合いのことです。

 

急勾配ではさほど問題になりませんが、緩勾配の場合には屋根材により、さらに屋根材の勾配が小さくなりますので、屋根材の選択肢が少なくなってしまいます。

金属屋根が緩勾配に強いのはその「薄さ(屋根材の立ち上がりの低さ)」で、勾配の影響が少ない事も大きなメリットとなっています。

 

 

屋根の「勾配」により、家の外観から、性能まで様々な影響があります。

住宅の新築時はもちろん、改修・修理の際も

屋根の勾配はとても重要です。